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  砥 鹿 神 社 伝 説


本宮山と石巻山
 宝飯郡一宮村の本宮山と八名郡石巻村の石巻山とは高さを争った。
両方の山の神様が、はかってみたら同じ高さだったので、それからこの山に登るには石を持って行くと軽々と登れるが、もし山の石をころがすと怪我をするという。
 尚、この付近に昔大男が住んでいて、両方の山へ足をかけて小便をした。
これが両山を流れる豊川だという。


本宮山と吉祥山の峰
 宝飯郡一宮村の本宮山と八名郡八名村の吉祥山とは豊川を挟んで高さを争った。
それだから、この山へは石を持って登ると願事がかなうという。


山姥(やまんば)
 大昔、山姥がおって、本宮山と石巻山とを足で跨ぎ、豊川の水で髪を洗ったという。


鹿に化けていた天狗
 猟師が、朝早く本宮山へしかを撃ちに行くと行手の大きな岩の上に、一頭の大鹿が眠っているので、早速弾込めをして狙いを定めて撃った。
ところが鹿は相変わらず眠っているので、次から次と5,6発撃っても何の手応えもない。
不審に思って、黄金の弾を出して撃とうとすると、其時まで眠っていた鹿がムクムクと起き上がったと思うと、忽ち鼻の高い老人になってさっきからの弾はみんな此処へ置くから、どうか命は助けてくれと言って、手のひらに持っていた弾をみんな岩の上に置いて逃げていった。


鹿に見えた磁石
 或時、麓に住む狩人の一人が、鹿を迫って山中にわけ入って、最初の鹿は逐に見失ったが、別の谷を隔てて一頭の大鹿の眠れるを見出した。
直ちに矢をつがえて放したがさらに手応えは無かった。
幾度やっても同じなので、不審に思って近づいて見ると、実は鹿と見たのは大いなる磁石であった。その時、忽ち神意を感じて、その磁石を神として祀ったという。


緋の衣を纏った狸
 娘が家出して行衛が知れなくて、方々を探していると、近所の病人に狸がついていて、俺が連れていって女房にしているという。
場所はこれこれと、村の西北にそびえている本宮山の裏山に在るともらしたので、初めて山探しをしてみると、果たしてえらい険しい岩の影に居たそうである。
其所は雨風など自然に防ぐように出来ている場所だったという。
後になって娘に様子を問い訊すと、狸だか何だか知らぬが、山の木の実や果物の類を、時折運んで来て食わして呉れたと語ったそうである。


天狗
 むかし、本宮山の頂上近くに天狗岩という大きな岩の所に、大天狗(赤い顔の天狗でなくて、カラスのくちばしのような顔のカラス天狗)が住みついていました。
大天狗は世の中の善いこと悪いこと、みんなお見通しで、本宮山の頂上にある砥鹿神社の奥宮のねぎさんや、奥宮の裏にあった薬師堂のお坊さんたちが、その日のおつとめをなまけたりすると、小天狗に言いつけておどしたり、荒らしまわったりしましたのでねぎさんも坊さんもびくびくしていました。


天狗
 昔あるとき本宮山へ総参り(村中一戸一名が必ず参加する)が行われた。
神主草砥鹿近江守様も参加され村人たちと共に相前後して表参道を登られた。
頂上も近い所で参道から空を仰いで近江様が「あっ天狗たち迎えに出たか」と独り言を呟かれた。
村人たちも空を仰いだが何も見えないでいぶかると「ここから見てごらん」とさし招かれた人が近江様の御衣の袂を頭上に載せて仰ぐと天狗様が上空で円を描いて大勢翔んでいるのが眺められた。
三河一宮神社散歩より

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